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| 北海道大学電子科学研究所・教授 |
| 三澤 弘明 Hiroaki Misawa |
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量子力学や材料科学の発展と相まって、化学分野において光をエネルギー源・駆動源とした様々な化学反応の研究が20世紀の後半に著しい進展を遂げました。たとえば、太陽電池などのエネルギー変換素子、光触媒、光メモリー、フォトレジスト材料、光センシング技術を用いた各種バイオセンサーやバイオイメージングなど、光化学の研究が科学技術の発展にもたらした影響は極めて大きく、21世紀においても広汎な光科学技術を支える基盤的研究の一つになることに疑う余地はありません。
これら一連の光化学反応の研究は、その高効率化や高選択性を達成するために、従来は「光と相互作用する分子や物質の電子物性を最適化し、光吸収、そしてそれに後続するエネルギー移動や光電子移動をデザインする」研究が主に行われてきました。つまり、従来研究の主眼は光に応答する分子/物質系に置かれており、光化学反応を駆動するために重要な役割を果たす「光」そのものを精密に操作し分子/物質系と結合させる「反応場」に関しては大きな関心が払われてきませんでした。
一方、近年、フォトニック結晶や金属ナノ構造体(プラズモニクス)に関する研究が進展し、これらのナノ・マイクロ構造体が光電場と強くカップリングすることにより光の群速度を制御できること、光を微小空間に束縛し、閉じ込める機能を有することなどの優れた特性が見出されています。フォトニック結晶とプラズモニクスの研究は,それぞれ全く異なった歴史的な背景を持ち、独自に研究が進められてきました。フォトニック結晶は、1980年代後半に理論的研究が報告された比較的新しい研究分野ですが、近年の微細加工技術の高度化とも相まって、理論、実験の研究は、ともに急速に発展しつつあります。一方、プラズモニクスの研究の起源は中世以前のヨーロッパのステンドグラスに求めることができます。ステンドグラスの発色が、金や銀のナノ粒子の局在表面プラズモンによることは、もちろん当時は知られていませんでした。しかし、19世紀前半のFaradayによる実験や、20世紀初頭のMieやGansらによる理論的な研究によってプラズモンに関する研究が進展し、最近では光を制御する手法として数多くの論文が報告されています。
これらの光を制御するナノ・マイクロ構造の研究から一歩踏み出し、微小構造中に捕捉・局在化された光と分子/物質系との相互作用の本質を明らかにし、それを新しい物質変換やエネルギー変換の研究に展開することが、本特定領域の目指すところであります。このような国際的に見ても未踏の領域が,我が国の科学研究費補助金の「特定領域研究」に選定され、本年度より組織的な研究がスタートできる運びとなりましたことは、誠に喜ばしい限りであります。非常にチャレンジングな研究課題ではありますが、日本発のオリジナルな研究領域として15名の計画研究班員が中心となり、世界に向けて数多くの優れた成果を発信する所存ですので、関係する研究分野の先輩諸兄より、是非、温かなご指導とご支援を賜りたいと存じます。何卒、宜しくお願い申し上げます。 |
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